ニペソツ山は、どうしようか迷っていた。本来のメインルートである「十六の沢コース」が通行止めなのだ。こちらのコースなら標高差1000m、コースタイム10時間程度なので自分でも大丈夫な距離だ。しかし、幌加温泉コースは標高差1300、往復25キロ、コースタイム14時間である。ぬかびら温泉郷のネーチャーセンターでも「距離が長いので野営地での1泊推奨」と書いてあった。はたして自分の体力でクリアできるのか、かなり怪しい。しかも好天であることも条件のひとつとして外せない。(景色がどうこうというレベルでなく、生きて帰るという意味で) でも、とりあえず登ってみてダメなら途中で戻ることにした。

 前日、地図によれば少し上の方にも駐車場があるようだ。試しに未舗装の林道を登ってみるが、我が愛車(ホンダエアウエイブ)では少々苦しいようだ、かなり奥まで行ったものの、駐車場の直前にあるでかい水たまりに突入する勇気がなく、引き返した。

7月21日

 登山口駐車場を4時出発。25キロのロングコースが始まった。スタートの林道は30分でクリアし、4時半に登山道に入る。他の山と同様、はじめは林間のなだらかな道を進む。よく考えたらロングコースであるが故に、傾斜がきつくないのかもしれないと、ちょっと前向きな気持ちが芽生える。

2キロの林道を歩いて登山道スタート
ほぼほぼ一緒だったおじさん

 林道に入って早々に、一人の登山者に追いついた。聞けば上の駐車場で車中泊したとか。車はジムニーだというから、自分が断念した判断も間違っていなかったような気がする。この男性のペースが自分に合っているので、しばらく後ろをついていくことにした。時々坂道も出てくるが、序盤の林道は思いの外緩やかで歩き易い。午前6時の時点で既に6.5キロの表示が出てきた。山頂まで残りは6キロだ。

半分来た(ここから本格的な登り)

 しかし、ここまで楽だったということは後半の登りがきついことを意味する。あまり飛ばしすぎないように注意する。実際、ここから上りは急になり、速度が落ちてきた。ここは先行する男性のペースに合わせたらまずいなと思い、敢えて休憩を取って距離をおく。(今日は長距離ということでビビっていつもよりも補給食を多く持ってきている)

 後半は尾根道なので木々の間からゴールが見えてくる。山は全体的に石狩岳と同じ色調の緑色で、とても美しい。しかし、目的のニペソツ山の手前に2つのピークが見え、あれを越えて行くのかと思うと、この先も楽じゃないのだと感じる。とにかくあまり深く考えず足を動かす。途中で見つけた雪渓に穴を掘り、ウイダーゼリーを投入して埋める。帰りにここで冷たいやつをいただくのだ。(場所がわかるように木の枝を何本か立てておいた)途中の岩場で、ナキウサギ発見。北海道の山も20を越え、やっと出会えました。かろうじて写真も撮れたので、もう山頂まで行けなくても満足だなとハードルを下げて元気に進む。

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ゴールが見えてきた
まだまだ先は長い
たまに雪渓
ナキウサギ発見
稜線でた

 7時30分、稜線に出た。残りは3キロ。ここまで来れば間違いはないだろうと、ペースを落としてゆっくり歩く。今日は天気が最高によく、ゴールのニペソツ山も綺麗に見えている。もう2度と来ないだろうから、ここはゆっくり山を味わっていこう。野営指定地のわきを通り、トイレブースを見つけたところで一休み。先行する男性はかなり先に進んでいるようだ。

 稜線に出たといっても、ここから2つの登り返しがある。まだまだ先は長い。案の定、山頂に着いた時には既に時計は9時半を指していた。先に到着して休んでいた男性と少し話をし、彼を見送ってから30分ほど、コーヒーを飲みながらぼーっと過ごす。暑い日だがじっとしていると汗も引いて心地よい。周囲の山々も綺麗に見えていて最高のコンディションだ。

まだまだある
山頂(奥見える山から登ってきた)

 10時、山頂出発。気持ちの良い稜線歩きだが、ここだけでけっこうな時間がかかる。稜線から幌加登山口への分岐に到着した時は、すでに12時近かった。ここからは、長い長い下りが始まる。午後も天気が崩れる気配はなく、あまり頑張らずに歩く。今日は気温も上がり、雪渓に埋めていたウイダーは既にむきだし状態で日に当たっていた。でも冷たくておいしい。

 13時20分、ようやく中間地点通過。もは日が暮れる心配はないが、長い。最後はさすがに疲れもたまり、ダラダラしてきた。

 15時20分、駐車場到着。11時間ちょっとでゴールした。当初は自分には荷が重いのではとビビっていたが、予想外にゆとりをもって帰ってきた。天候に恵まれたことが最大の要因だが、山の体力がついてきたことも間違いないだろう。これはちょっとうれしい。

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